The Making of the Illustration

Illustrator編 Photoshop編 テュル・フローラ解説

戦国コレクション・イラストコンテスト2
応募作品『巴御前』

 2012年年末から2013年年始にかけてpixivにて募集された、SNSゲーム『戦国コレクション』のイラストコンテストにおけるオリジナル武将募集部門に応募しました。
 規約により選外となったものは描いた本人が著作権を持つということなので、pixivに既にアップしてはありますが、当サイトにも自らの足跡としてアップすることにしました。
 しかしただ同じものをアップするのはつまらないし、もともと水彩でも仕上げるつもりだったこともあり、水彩の方にも着手を開始。同じ下絵からデジタル・アナログ両方を起こすのはこれが初めてなので、今回のイラスト制作過程で思ったことなどを残していこうと思います。

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デジタル版・背景有デジタル版・背景無水彩版・背景有水彩版・背景無

 左側がデジタル、右側が水彩です。
 エフェクトとバックは同じもの(Photoshop作成)を使用しています。

 作成過程的には、
  ★水彩用紙に下絵→ペン入れ
  ★ペン入れした下絵を水彩着色前にスキャン
  ★スキャンしたデータをPhotoshopでデジタル着色
  ★ペン入れしている水彩用紙を水貼り→水彩着色
  ★着色終了した水彩をスキャン→Photoshopで調整、エフェクト加工
 といった感じになります。

 並べてみると、やはりデジタルで描いたものはメリハリがついています。
 モニターで見ながら色を塗って行くので、『見たまんま』が仕上がりになりますね。
 また、デジタルはハイライトをつける際に非常に強いです。

 アナログの場合、ホワイトを入れる以外でハイライトをつけるとなると、予めハイライトを配置する箇所を残して塗って行く必要があります。なので、当たり前ですが最初に決めた光源の位置を忘れないようにするのが非常に重要。
 デジタルの場合は常に全体を見ながら作業できるのに対し、アナログは塗りを行う物理的面積に限界があるため、どうしても局地戦的な塗りになってしまいがちです。常に光源を意識しながら、マクロミクロ両方に気を遣って絵の具を置いて行く。なかなか難しい作業ではありますが、それもまたアナログの醍醐味でもあるのではないかと思います。

 水彩、と言っていますが実際に使用しているのはアクリル系の絵の具です。
 リキテックスソフトタイプと、ドクターマーチンピグメント。
 陰影表現が好きなので、かなり色を重ねる塗り方をしています。
 乾燥させながら、何度も何度も同じ箇所にひたすら塗り込む感じにやっているので、正直スピードに乏しいです。
 どちらをメインで使っている、というより、使いたい色で判断している感じです。
「肌色はドクターマーチンピグメントの『コーラル』を主に使用」とか、「肌色派生のピンク(舌や皮膚など)はリキテックスの『ライトマゼンタ』を使用」とか。

 デジタルの最大の利点は「色に困らない」ことじゃないかと個人的には思います。
 絵の具の場合は絵の具同士を混ぜればある程度欲しい色を作る事は出来ますが、何しろアクリル系の絵の具は「乾くともう水でとけない」ので、混色をしたらその瞬間にすべて塗り切ってしまわないと色が安定しなくなってしまいます。
 また、アルコールマーカーなんかは混色そのものが非常に難しいので、使う色を予め揃えておかないと任意の表現ができにくいのではと。そういった点を考えなくて良い分、デジタルは後顧の憂い無く作業できる強さを持っていますね。

 それでも「コマンドZでやり直せない一発勝負感」を経て一枚の作品を仕上げたときの達成感はやはりアナログならではの楽しさだと思います。
 一筆一筆に魂を入れるように色を置いて行く過程の楽しさは、私にとってとても大きなものです。

 デジタルとアナログ。
 メリットデメリット、得意不得意、それぞれにありますが、どちらの良さもどちらの味も『光野らしく』表現していけたら…と、常々思いながら紙に向かっております。  →ページトップへ戻る